特別講演

| 特別講演会  (※この講演は大会に参加されていない一般の方も聴講可能です)
 日 時:2019年9月27日(金) 16:30~18:00
 会 場:九州工業大学 戸畑キャンパス内 百周年中村記念館 2階

 講師:(株)野村総合研究所 パートナー コンサルティング事業本部  近野 泰 氏

 演題:「チャンスか、脅威か? ~100年に一度の産業革命をどう活かすか~ 」

 講演概要:
 本講演では、インダストリー4.0やIoTなどのデジタル革新を主題として、IoTが注目される背景・インパクト、アジアにおけるイノベーションの潮流、そして百年に一度の大きな産業革新の機会をいかに生かしていくべきか、日本の機会と課題を述べる。

 日本におけるIoT(モノのインターネット)は、大手コンビニエンス・ストア・チェインのセブンイレブン・ジャパンが1970-80年代から開発に取組んで普及させてきたPOSシステムに端を発しているのではないだろうか。モノに貼付されたバーコード情報が日々、大量に世界を駆け巡り、それらのBig Data解析に基づいてマーケティングの精度を加速度的には進化させたことは誰の目にも明らかだろう。IoTとBig data解析を最も活かした事業モデルを日本は世界に先駆けて牽引した事例である。
 その後、2000年代初頭に入り、IPv6の時代を予見し始めると、Ubiquitous networkやM2Mの活用に関心が高まり、車両情報と位置情報を組合せ、商用車におけるMobility as a Service(サービスの高度化)を企図したトラックメーカ、いすゞの"見守りシステム"の開発が続いた。さらにKomatsuやGEが自社機械の販売後の稼働状況を追跡できるシステムを世に送り出し、注目を集めたことは周知だ。日本は従来からIoTの先駆者である。

 そして、2013年に報告されたドイツIndustry4.0 Platformは、モノの販売後(川下)に留まらず、川上(開発・生産準備)・川中(生産・製造・調達)の、言わば製造業における全ての工程を透過的に情報活用できるCyber Physical System(以下CPSと略す)に着目し、一大産業革命と銘打ってデジタル革新(Digital Transformation:以下DXと略す)を世に問うた。
 同時に、最先端のロボット技術研究やAIの進化などと融合して、既知の現象を学習するセンシング/パターンマッチング/ディープラーニングなどが一斉にCPS概念と呼応し、製造現場のモデリングや推論を最適化していく次世代情報基盤構築が注目を集めるようになった。
 その後、製造業の最前線では、新旧を問わず機械のモニタリング、工程・挙動パターンの参照などを行いながら、製造や保守保全において機械(学習)を通じた最適化を目指す活動が活発化している。ユーザは時間と共に、誰もが同じレベルの製造現場を再現できてしまうのではないかと心配している。つまり、機械の深層学習においては、参加者の情報蓄積の多様性と量が最終精度と競争力を決めるのではないかと考えている。そこで、現象のセンシングとパターン参照を機械で代行する活動を効率化・加速
化するために、欧米企業は次世代IoTプラットフォームの存在に注目を移し、そのポジション争いを加速しているように見受けられる。

 日本の先進企業は過去から蓄積してきた経験とノウハウを、デジタル化の時代に如何に活かすか、高度化できるかを見極めようと模索している。最新鋭の設備やITシステムだけに依存しないで、人を大切にした「価値創造・組織創造・人材創造」の各プロセスを抜本的に見直しながら、次世代のあるべき姿を見定めようとしているように思える。しかも、国内に限定した活動に留まらず、海外において現地人材と共感し、協業できるデジタル時代の新たな価値創造プロセスを見出そうとして、現地の人材と
産業基盤を再構築しようとする企業活動が注目される。「日本人の日本人による日本人のための産業創出」という概念を打ち破った先には、改めて世界に問うことの出来る、日本の新しい事業モデルが出現してくるのではないだろうか。
 一方、アジアの中でのイノベーション創出のあり方も近年、潮流が変わってきている。特に、中国深センは、シリコンバレーモデルのハードウエアを担う地域であり、20億台もの膨大なスマートフォンのサプライ・チェインの上に構築されてきた、イノベーション創出の舞台となっている。ドローンで一躍有名となったDJXなど新興企業がなぜ、生まれてくる土壌が出来上がってきたのかを問い直す必要がある。また、アジアにおいても短期間で周辺各国の顧客や仲間を増やし急成長を遂げたGrabなどを見
ると、一国一社に限ったイノベーションとは程遠い、アジア地域内での連携型イノベーションが生まれてきている。
 DX時代に、日本とASEANとの新たな連携を模索する動きは重要である。アジアでは製造業のみならず、農業や水産業などの「工業化」・「商業化」の進化に大きな期待が集まっている。日本は農水産業の「6次産業化」をキーワードとしているが、正にアジアでの産業発展には不可欠のコンセプトだと思う。欧・米・中と日本との違い/優位性を丁寧に見極め、説明・説得しながら、"日本に留まらない"新たな事業モデルを世界に問うことが求められているのである。
 その意味において、日本が既に2000年代初頭に挑戦しかけていたDigital Meister Projectの概念と狙いを踏まえておくことは重要である。その上で、日本が世界に問うべきDX(Digital Transformation)の機会と課題を述べる。


 講師履歴:



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最終更新日:2019年4月25日