大会開催を記念し、開催校推薦の講師2名をお招きし特別講演を開催いたします。
聴講は大会参加者以外の方もご自由に聴講いただけます。当日会場まで直接お越しください。多数のご参加をお待ちしております。
■開催日時: 9月18日(木) 16:15~17:45(予定)
■会 場: 福岡工業大学 A棟1階 A13講義室(予定)
【注意事項】
講演中の撮影、録画、録音は一切禁止いたします。ご了承ください。
講演の取材を希望される報道機関の方は、事前に大会事務局までメールにてご連絡をお願いいたします。
【講演1】 福岡工業大学 名誉教授 久保 英範 氏
【講演2】 福岡工業大学 総合研究機構環境科学研究所 客員教授 永淵 修 氏
「遣隋使」を通してみる自然科学研究と日本古代史研究
【講 師】 福岡工業大学 名誉教授 久保 英範 氏
【講演概要】
七世紀初めの遣隋使は古代日本に大きい影響を与えた重要なできごとである.その遣隋使について書かれている日本書紀と隋書倭国伝の記述を材料として,以下の諸点を明らかにすることが本講演の目的である.
自然科学の研究者から見ると,日本古代史の研究は近寄りがたい異質な別世界に見える.しかし,そうではなく,自然科学研究と日本古代史研究はかなり近い.
① どちらも同じ実証科学である.自然科学では実験事実に基づき客観的事実を構築するが,それと同じで,日本古代史では,史料(特に日本書紀)や発掘結果をもとに歴史的事実を構築する.
② 古代史研究の問題解決の方法や論理展開は自然科学研究と基本的に同じである.
③ 自然科学と古代史はいろいろな相違があるが,両者の間の壁は見かけほどには高くはない.
2.日本古代史では,「遣隋使」のように重要な事項でも必ずしも"解決済み"ではない.
3.日本古代史は,「邪馬台国」に限らず,未解決の重要問題がたくさんある魅力的な分野である.特に,九州は古代の先進地域であって,古代遺跡も多く,興味ある日本古代史の重要課題がたくさんある.
【講師略歴】
1965年 大阪大学基礎工学部電気工学科卒
1968年 大阪大学基礎工学研究科物理系博士課程中退
1969年 九州大学工学部助手
1974年 理学博士(九州大学理学部)
1985年 福岡工業大学工学部助教授
1987年 同,教授
2013年 福岡工業大学定年退職 同,名誉教授
【講 師】 福岡工業大学 総合研究機構環境科学研究所 永淵 修 氏
なぜ、いま、北極圏で水銀研究か
【講演概要】
水銀(Hg)は、大気中を長距離輸送可能であり、生物濃縮や高い毒性を示す、地球規模に広がる環境汚染物質である。近年、北極域における水銀動態の解明に向けた研究が、世界的に注目されている。
北極圏での水銀研究の緊急性は、気候温暖化による急速な環境変化により、近年さらに高まっている。特に、永久凍土の融解により、これまで固定されていた大量の水銀が環境中に放出される可能性がある。また、氷河の後退やサーモカルスト湖・湿地の拡大により、水銀の移動や微生物によるメチル化が促進されることが懸念される。
また、北極圏の食物網における水銀の蓄積は、海洋哺乳類や魚類に多くを依存して生計を立てている先住民に深刻な健康被害をもたらす。この問題は、環境保全のみならず、環境正義の観点からも、国際的な対応が求められている。
さらに、2017年に発効した「水銀に関する水俣条約」は、世界規模での水銀汚染削減を目的とする国際的枠組みであり、その効果を科学的に検証することが求められている。
このような背景のもと、急速に変化する北極環境における水銀動態を明らかにすることは、地球規模での水銀汚染の将来像を予測し、人間と生態系に対するリスク評価を行い、国際的な水銀管理政策の有効性を評価するため極めて重要である。
これらを含めて、アラスカでの研究成果について報告します。
【講師略歴】
1966年 八幡高校入学
1970年 鹿児島大学工学部応用化学科
1974年 福岡県庁入庁
1997年 山口大学大学院理工学研究科修了 博士(工学)
2003年 千葉科学大学危機管理学部 教授
2008年 滋賀県立大学環境科学部 教授
2016年 滋賀県立大学退官
2016年 福岡工業大学 附置研究所 研究員 客員教授
現在に至る